重ねられた優しさ

「セロテープ®」
こう呼べるのは実はある一社からだしたものだけであるのをご存知でしたか?
本来はセロハン粘着テープ、もしくはセロハンテープという名前なのです。
ちょっと長いですね。

セロハン粘着テープ自体の歴史は1930年にアメリカで幕を開けます。
3Mによってセロハンに接着剤を合わせたスコッチセルローステープ
「スコッチテープ」が開発されました。


製薬会社へGHQからの注文

戦後の1947年9月。
絆創膏や、軟膏、貼り薬をつくっていた歌橋製薬所(後のニチバン)へ
日本駐在のGHQからある依頼がきます。
封書を閉じる時などにセロハン粘着テープをアメリカから調達していたのだが、
輸入が遅れ、品が足らず、日本での生産が必要になったとのことでした。

それ以前に、ある会合でスコッチテープを目にしていた社長の歌橋憲一は、
ここぞと開発を進め、ほぼ一ヶ月で試作は完成かと思われました。
ところが冬に入りかけていたその頃、寒くなると粘着しにくくなることが発覚。
調べると、使用していた合成粘着材が原因だったのですが、
もうすでに大量に材料を購入してしまっていた、歌橋製薬所は
まだまだ小さな工場、崖っぷちに立たされます。
それでも、日本の将来に必要なものとなるはずと、
一から原料を研究し直し、天然ゴムを使用することで問題をクリアします。

そうして生まれた製品が翌年一月にGHQへ納入されました。
あまりの短期間に高品質の製品ができたことにGHQ将校もびっくりだったそうです。


セロテープ? 何に使うんだ?

そして、セロテープ®の名と共に国内販売へ向かいます。
が、当時の日本人はまだ、糊や鋲で物を貼りつけることしかしておらず、
今では信じられませんが用途がわからずに、営業で追い返されることもあったそうです。

このセロテープの便利さを信じていたニチバンは、
目をひくパッケージやロゴにもこだわり、
全国へ宣伝カーで使い方をわかりやすく提案をしてまわり、
大々的に駅前、野球場、アドバルーン、電車の中吊りと広告を展開していきました。
その時に生まれた、あの赤、白、青や流れるように描かれたセロテープ®のロゴは
現在もそのまま使われています。


実は天然素材

透明な外観からビニールのように思われがちな、セロテープ®。
でも、その素材セロハンはパルプから生まれた天然由来なんです。
芯は紙、粘着材は天然樹脂。
だから、土の中では分解され、燃やしても有害ガスは出ません。
60年前から、人に環境に優しいものづくりは
医薬品メーカーとしてのこだわりだったのかもしれません。


剥がせないと、貼れない

その後も、テレビCMなどの広告展開が功を奏し、
セロハン粘着テープの代名詞となった、セロテープですが、
普及すると共に消費者からの苦情も出てきました。

ちょっと放っておくと変形してしまう。
ロールからはがれなくなってしまう。
テープを使う時にセロハンから粘着材がはがれてしまう。
まっすぐでなくて、斜めに切れてしまう。

などの難しい問題を一つずつ、解決していき、
それらの全てが重なり合った研究の成果として、
現在の四重構造のセロテープになっています。


さあ、また一歩、足をすすめていきましょう!




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